シングルマザーと養育費の不払い

養育費を受け取っている割合は2割弱しかありません。そもそも養育費とは離婚したとは言え自分の子供のために支払うお金なのに、この受取率は恐ろしく低い数字ではないでしょうか。

では養育費の受取率の低さには、なにか原因があるのでしょうか?

一般的には離婚時に養育費についてのきちんとした取り決めをしなかったからと考えることもできるでしょうが、実は調停・審判・裁判離婚をした場合でも、養育費の受取率には大差ないというデータがあるのです。

養育費不払いの実態

ここからは推測になってしまいますが、そもそも養育費を受取る側が強制執行などを使った厳しい請求を行なっていないことが原因ではないでしょうか。

確かに子育て・仕事・家事で大変な毎日を過ごす中で、養育費の支払い請求まで手が回らないのは理解できることです。

そして自分の手がまわらないのであれば、誰かに相談すれば良いのでしょうが、では誰に相談するのが最適なのかもわからないまま放置されているのかもしれません。

しかし養育費を支払うのは親の義務です。そうです。あなた一人ですべてを負担する必要はないのです。

ただでさえ、あなた一人に子供を育てる負担を負わせ、養育費支払という義務を果たさずにあなたへの経済的負担を強いる行為に、泣き寝入りする必要はないのです。

そして養育費には時効はありません。今まで支払われなかった養育費についても請求することができますので、まずは養育費を請求する方法について考えていきましょう。

強制執行という選択肢

状況的に、あなたは相手に対して口頭での催促は何度もされていると思います。しかし「待って欲しい。いついつまでに払うから。そして音信不通に。」といった流れで一向に「ラチがあかない状態」になっているのではないでしょうか?

そしてこういった状況に陥った場合、毎日の生活でいっぱいいっぱいのあなたに、それ以上の行動を起こすパワーは残っていないのかもしれません。

そしてこの段階で養育費のことを諦めてしまっていることが、養育費の受取率の低さにつながっているのかもしれません。

では具体的にはどうすればよいのか?

簡潔に書くのであれば、強制執行の準備をして相手の給与を差し押さえることにチャレンジすることになります。

例えば内容証明を送り、それが駄目なら家庭裁判所から履行勧告してもらい、それが駄目なら履行命令という流れもありますが、「一向にラチがあかない状態」を想定するのであれば、これらの行動に関わる時間や労力は無駄に終わる可能性が高いでしょう。

そのため、強制執行という選択肢になるのです。

債務名義がない場合

しかしここで問題があります。強制執行の手続きする際に「債務名義」が必要になるのです。

この債務名義を簡単に説明すると、養育費の支払いについて約束した公の文書です。代表的なのものが、公正証書や調停調書などが該当します。

そのため債務名義がない場合は、調停、審判、差押えといった手順を行う必要が出てきます。法律について詳しい方でない場合、手順が複雑なため挫折する原因になってしまうかもしれません。

そういった方は、養育費相談支援センターまたはお近くの無料相談ができる弁護士に相談してみてください。

あなたが債権名義がない状態で、もし相手との連絡が取れる状態であれば何はともあれ債権名義を作成することからはじめてください。

強制執行の注意点

強制執行の手続きの詳しい解説については家庭裁判所のサイトをご覧頂くとして、まず強制執行するには相手の情報を収集する必要があります。

具体的には、勤務先・金融機関情報(銀行名・支店名・口座番号)になります。なぜなら、強制執行するのは相手の給与になる場合がほとんどだからです。

差押えられる金額は、税金・社会保険料などを差し引いた金額の半分までとなります。ちなみに半分の金額が33万円以上であれば、33万円を引いた残りの金額まで差し押さえることができるのです。遠慮は要りませんので、差押えれる上限まで設定しましょう。

そしてなにはともあれ、勤務先と口座情報を入手する必要がありますが、勤務先は別としても、口座についてはわからない方もいるでしょう。その場合もやはり弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

諦めたらそこで養育費の支払は今後一切なくなってしまいます。

わかないことやつまづくことがあれば、弁護士による専門家の無料相談からはじめてみてみましょう。