離婚を考える前に考えること

『離婚』とは姓を同じにし、共に生きていく決意をした男女の終わりを意味する言葉かもしれません。

しかし、考え方を変えれば、それぞれの新たな人生の始まりともとれるのでないでしょうか?

お見合い結婚、恋愛結婚、できちゃった結婚等、始まりはそれぞれです。つまり、終わり方もそれぞれです。

一度、この人と共にと決めたことを解消するのですから、二度と間違えはしたくないもの。

離婚を告げる前に

そのために、『離婚』を告げる前に、考えておきたい事。そして、新たな人生の始まりをより良くするための、方法を知っておきましょう。

『離婚』を相手に告げる前に考えなければならない事は沢山あります。双方同時に離婚したいと言い出すことは、稀です。

きっと、夫婦のどちらかが、相手の何かに耐えられず、離婚の二文字を告げることが多いのでは?

男性のリスク

その時にまず考えたいのは、自分が背負うリスクです。

男性の場合の多くは、社会的なリスクです。会社等での体裁。また、子供がいる場合は親権や養育費の問題は必ず付きまといます。

親権は子供が幼ければ幼いほど、妻が持つ方が一般的です。

また、夫婦どちらにも言えることですが、どんな理由かにより慰謝料の請求をされる場合もあります。夫から別れを切り出しても、妻から別れるためには、何らかの理由をつけて慰謝料と提示されることもあります。それは、まさに逆もしかりです。

円満に離婚が成立すれば、慰謝料請求はありませんが、もつれて離婚調停に発展してしまうと、不貞行為(不倫など)がない場合でも、精神的苦痛などの理由が提示され、慰謝料問題になる可能性もあるかもしれません。

しかし大切なのは、慰謝料とは一方的に、必ず男性が女性に支払うものではありません。不貞行為や精神的苦痛を訴え、慰謝料請求する側に回る権利はどちら側にもあります。しかし、慰謝料請求になると、円満離婚で終わる可能性は少ないでしょう。

女性のリスク

女性の場合はやはり、経済面の問題が立ちはだかる事が多いでしょう。専業主婦だった場合、やはり自立した生活を今後求められてきます。

子供さんがいらっしゃらない方は、離婚前に仕事を探して準備をしておくのは一つの手ですが、子供さんがいらっしゃる方は、子育てと家事と仕事を両立するのは大変難しいことです。

だからと言って、親権は渡したくない。養育費を貰えても少ない、払わない等の問題が起こるかもしれません。

その場合のために、養育費の支払い金額はよく話し合い、決定事項をもとに離婚協議書を作成し公正証書にすることをお勧めいたします。

公正証書(強制執行認諾文言)を証拠に裁判所に申請すると、差し押さえの効力もあります。

生活を守るために

しかし生活するにあたり、養育費などが延滞されることは家計に大きなダメージとなります。健全な生活を確保するためには、国の援助・助成を受けることをお勧します。児童手当児童扶養手当など片親の援助があります。

またお住いの都道府県により、手厚い支援が受けられる地域もあります。

母子・父子家庭になる前に、ご自分のお住いの地域の手当の種類を調べておくのも大切です。内容は都道府県に異なります。

知り合いの方が離婚した後の引っ越し先を、母子家庭に手厚い制度のある地域で選び、生活レベルを下げないで生活をされていました。離婚後に引っ越す先を決めるときは、あらかじめ都道府県の手当を調べておくことは大切な事かもしれません。

財産分与で新生活の資金を

もう一つ調べておきたいのが、財産分与です。財産分与とは、夫婦が結婚してから二人で築いた財産を分ける制度です。

お互いが結婚する前の財産は財産分与に含まれませんが、どちらの収入が多い少ないに関わらず、結婚してから貯蓄した貯金や、買った高額品等は、財産分与の対象となります。

『離婚』を新たなスタートと考えれば、必ずや出発資金は必要です。離婚をしたいと思う理由によるかもしれませんが、これからの人生を考えて、どれだけの資金をもって新たな道を進むのかは、大切なことだと肝に銘じるべきかと思われます。

子供のこと

しかし金銭の問題だけではない大切な感情。それは、我が子を思う親心ですね。離婚を切り出せない大きな理由は、「子供が可哀で」という方は多いかもしれません。

夫妻だと、やはり親権は母親になることが多いのは通説ですが、離婚後も親には子どもと面会をする面会交流権が認められています。

月単位や週単位など、その頻度は各家庭により様々ですが、離婚協議の際に、離婚協議書にその旨の記載をしておけば安心です。

親権をもっている親が、子供に会わせないなどの行為をしたら、家庭裁判所で親権者の変更を申し立てる理由になります。

反対を返せば、親権者になったから、子供をもう会わせないなどの行為をすると、後々大変です。お気を付けください。

離婚は新たなスタートと考えて、準備する事が大切です。

そして、離婚協議書を公正証書に作成し、スタートを切った後でも、あの頃のことに悩まされない。それが、元家族への最後の思いやりではないでしょうか。